パーキンソン病のママが望む生活を
取り戻すために私が行ったこと

事例提供者:和歌山県立医科大学 
矢出 装子さん
マンガ提供者:二本柳 舞さん

【あらすじ】

ご主人と小学生の子ども3人と暮らす三田さんは、パーキンソン病の治療を受けながら家事をしています。
家族や子供たちのためママの役割を発揮しようと、病気の症状にあらがうように積極的に動くのですが、思うように動けない日常が続いていました。
ご主人はトラックの運転手で不在がちですが、家事はできる時にすれば良いと、三田さんを理解しています。
しかし、無動状態で倒れているママを見て子どもたちは「また倒れてる。看護師さんが来るまで何もできひん」と、どうすることもできません。お手伝いに来てくれる実のお母さんも「もっとあんたがしっかりしなあかんやろ」と三田さんを叱責しています。三田さんは、言うことをきいてくれない身体を何とかしようと、薬を自己判断で調整してしまい、逆に症状が悪化…。
三田さんが三田さんらしく家族と生活できるようになるために、訪問看護認定看護師の矢出さんが行ったことは?

 

※脳が体を動かすための指令を調節するドパミンと呼ばれる物質が減ることによって起こる

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【認定さんポイント】
身体の症状や薬の効果を見える化し、
家族の理解と協力を得られる関係性を築いたこと

三田さんがママとしての役割を発揮するためには、生活行動(リズム)に合わせた薬のコントロールが必要と、矢出さんは考えました。
ご家族の関係性から、三田さんを支えるキーパーソンは実のお母さんと考え、家事や育児への協力を労い、思いを傾聴しました。また、生活活動表を通して三田さんの1日の症状の変化を見える化し、薬を飲むタイミングを調整しました。
そうすることで実のお母さんは、 「出来ない」から「こうしたら出来る」という認識に代わり、三田さんの病気に対する理解が得られました。なんと、小学生の子どもたちもママにお薬を飲ませたり、おトイレに付き添ったり、家事のお手伝いをするように変化しました。三田さん自身も、上手に薬をコントロールできるようになり、家族との楽しい時間を過ごせるようになってきました。
家族に合わせた病気への理解をすすめ、三田さんのセルフケア能力を高め、自己肯定感がもてるように支援したことが訪問看護認定看護師のポイントだったと思います。