認知症がある90歳代独居療養者の
「最期まで自宅で過ごしたい」を
かなえるために、私が行ったこと

事例提供者:マスト訪問看護ステーション 
菊池 悦子さん
マンガ提供者:二本柳 舞さん

【あらすじ】

長年住み慣れた自宅で一人暮らしをしていた五月さん(90歳代女性)は、訪問介護サービスを利用しながら独居生活を継続していました。転倒によるけがやスキントラブルの頻発により訪問看護サービスが始まり、更に、通院が難しくなったため訪問診療も導入されました。その後、徐々に寝たきりになり独居生活が困難になりましたが、「病院は絶対嫌。自宅で最期まで過ごしたい」と強い意識表示がありました。
でも、五月さんを支えてきた近所に住む弟さんは「一緒に暮らしていないからお家では無理でしょ」と施設入所を望まれました。 2人の意思が合わないなか、訪問看護認定看護師の菊池さんが行ったことはどのようなことでしょうか。

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【認定さんポイント】
五月さんだけではなく、弟さんに対してもアセスメント力を発揮した結果、在宅での生活に「安心を保証した」ことで在宅での看取りを可能にした

訪問看護認定看護師の菊池さんは、五月さんの思いに寄り添うためには、弟さんの不安を解消することが重要と考え介入していました。弟さんは何が不安なのか、どうすればその不安を安心に変えられるのかポイントを絞り、何をどのタイミングでするべきかを見極めてアセスメントをしていました。
訪問看護は本人だけではなく、家族も含めてアセスメントすることが、この事例でもみられました。菊池さんは、チーム全員に声をかけてカンファレンスを行いました。家で看取るイメージがつかない弟さんに対して、具体的かつ丁寧に説明をして不安を一つ一つ解決していったその高い説明力は、訪問看護認定看護師の力と言えます。また、五月さんの思いを何とか叶えたいと関わるチーム全員の思いが一致したことも大きかったと思いますが、それは日頃からの連携があったからこそと言えます。
その結果、弟さんにも在宅での生活に「安心を保証」することができ、最期は大好きな弟さんに看取られて、眠るようにお亡くなりになったのでしょう。認定教育課程でアセスメントの大切さを鍛えられたことが、しっかりと実践に活かされていました!