さまざまなサービスを拒否していた
認知症療養者を笑顔にした関わりとは

事例提供者:訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ
田端 支普さん
マンガ提供者:二本柳 舞さん

【あらすじ】

認知症と診断されているOさん(80 歳代)は、同じく認知症の妻と息子の3人暮らしで、外出せずに引きこもりの生活を送っていました。常にピリピリしている様子で、息子さんが声をかけても「いらん!」。食事を用意しても「いらん!」。しだいに失禁が増えたOさん。自分では入浴できないので息子さんが声を掛けましたが、ここでも「いらん!」と一蹴。困った息子さんはケアマネジャーに相談しました。訪問介護サービスを数カ所利用してみましたが全て拒否され、誰も関われない状況になってしまいました。
そこで依頼を受けた田端さん。訪問しても布団に寝たまま目も合わさず、やっぱり「いらん!」と怒鳴られ、会話もできない状況。さあ、これから訪問看護認定看護師の田端さんはどのような介入をされたのでしょうか。

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【認定さんポイント】
多職種とチームを組み、
認知症を理解し統一したケアをすることで生活の質を高めた!

訪問看護認定看護師の田端さんは、まずOさんの態度は不安で抵抗しているのであり、それは認知症という疾患からくる行動であることを理解し、どんなに拒否をされても諦めずに接していました。また、今のOさんに何をしてあげることが生活の質を上げられるか常にアセスメントしながら訪問されていました。
認知症の理解のほか、Oさんは社会との繋がりが必要なこと、野球の話をすると表情が変わること、説明は短文で、お顔が見えるところで話をするなど、関わるスタッフと共有し、時に一緒にケアをすることで自然とOさんを支えるチームができていました。Oさんは、徐々にケア受け入れ「いらん!」と一蹴していたのがうそのような笑顔もみえられるようになりました。
認知症があっても住み慣れたご自宅での生活できるよう、継続的に実行できるケアを創造し、関わるスタッフをコーディネートしたのは訪問看護認定看護師さんの力と言えます。